論理的文章を深くすばやく読み取る方法として、文章構成に注目するというものがあります。
文章には、内容のまとまりによってそれぞれ区切りがあります。これを段落といいます。
文章の段落には、「形式段落」と「意味段落」とがあり、これによって文章は構造的に構成されています。
この段落の構成を理解することで、文章を深くすばやく読解することができるのです。
以下、それぞれについてご説明します。
◆形式段落とは?
内容ごとに区切り改行し、一文字下げて区切りをわかりやすく示してあるのが「形式段落」です。
【図1】では、内容のまとまりごとに改行し、四つの形式段落に分けています。
基本的に一つの形式段落には一つの内容が述べられています。
ですから、形式段落ごとに内容をおさえていくと、文章の理解にたいへん役立ちます。
◆意味段落とは?
意味段落とは、形式段落を内容のつながりによって大きくグループ分けしたまとまりのことです。
【図2】では、四つの形式段落に分かれた文章を、内容のつながりによってグループにまとめ、三つの意味段落に分けています。形式段落の第②段落と第③段落が内容につながりがあり、ひとつにまとまるわけです。
意味段落は、視覚的に明示されていません。ですから、読み取るのが難しいこともあります。
しかし、この意味段落の構成に注目することで、文章内容をすばやく理解することができるのです。
◆意味段落の構成を文章理解に役立てる
意味段落の構成には代表的な型があります。それは、①頭括型、②尾括型、③双括型の三つの型です。
①「頭括型」
結論をはじめに述べて、以下に続く段落で、説明や例示を行ないます。はじめに結論を述べるので、読み手にとっては理解しやすいものです。
②「尾括型」
結論をさいごに述べます。「問題提起→例示・説明→結論」というように、筆者の主張(結論)をめざして、順を追って説明を展開してゆく、もっとも一般的なものです。
③「双括型」
①と②とを合わせたもので、はじめに簡単に結論を述べ、説明を展開し、さいごにもう一度詳しく結論を述べます。これは、結論を二度述べるので、非常に理解しやすい構成といえるでしょう。
さて、入試の論説文でもっとも多いのが「尾括型」の文章です。その尾括型の文章の意味段落の構成でもっとも多いのが、「(1)序論・(2)本論・(3)結論」の三段構成です。
(1) 序論
論の導入。話題を提示する。
(2) 本論
文章の中心。説明や意見提示、他者の意見への反論など。
(3) 結論
本論をまとめ、しめくくり結論を述べる。
論説文読解の目的は、「筆者の伝えたいこと」=「結論」の理解です。
尾括型の文章の場合、結論はさいごにあるので、 文章のさいごにある結論を先に見ておき、どのようにそこに至るのかを意識しながら読むことで、文章の内容がとても理解しやすくなります。
結論をはじめにおさえることで、文章内容の理解が速くなるのです。